フライス盤作業で必ずと言って良いほど頻繁に行なうバイスでのワークのクランプ。クランプする際、バイス口金の固定側と可動側をキチンと理解した上で、材料の向きを決定しないと加工仕上がりの直角度に影響が出ます。
順を追って解説していきましょう。
バイスとは、ワークや材料を挟み込んで固定する為の治具です。色んな種類がありますが、フライス盤作業で使用するバイスは主に「マシンバイス」というものです。私は津田駒製のものを使用しています。
口金とはバイスの一部分であり、一言で言うと「ワークを挟み込む2枚の板」です。付け替えが可能ですが、基本的には付けっぱなしで使用します。口金に傷や凹凸があると、挟み込んだワークにも傷をつけてしまうので、綺麗に丁寧に扱いましょう(間違ってもワークと一緒に削ってはいけません!)。
バイスの口金には「固定側」と「可動側」があります。一度、バイスのハンドルを回して口金を動かしてみましょう!その際、「止まったままの口金が固定側」、「動く口金が可動側」となります。
基準にするのは「固定側」です。その理由は、バイス底面との直角度にあります。
まず固定側ですが、キチンと研削などで平面・平行を仕上げている口金であれば、底面との直角度が担保されています。そして、動くことはありません。(厳密にはクランプ時の力加減で動きますが、それは別記事で触れます)次に可動側ですが、「動く為のクリアランス」を持っています。隙間が無ければ動きませんもんね。そのクリアランスがあるが故に、底面との直角度がが保証されません。
よって、基準にするのは「固定側」となりますので、ワークの基準面(削った面)は固定側の口金に当てて下さいね。
バイス口金や固定側と可動側について理解していただけましたでしょうか?バイスは「挟み込んで固定する」ので、180度材料の向きを違っても固定することは出来ます。しかし、基準にしたい面や口金の固定側・可動側について理解せずに加工を進めてしまうと、ワークの直角・平行の精度に大きく影響を及ぼしますので、しっかり押さえておきましょう!